ちょっとお勉強 アイカルディ症候群 
                 検索サイトから来た方はkanakana-puuTOPページへどうぞ。
「今日の神経疾患治療方針」より…

<疾患の概念>
Aicardi症候群は1965年Aicardiらにより報告された疾患で、脳梁欠損、点頭てんかん、網脈絡膜症(Lacuna)、を三主徴とし重度の精神発達遅滞を起す 先天性奇形症候群である。発症は全例女児であり、男児は致死性のため、流・死産するがXXYカリオ型を有する表現型男性の1例が報告されている。 Xp22のDNA異常によることが考えられている。

<頻度>
Aicardiらの集計によると1986年までにほぼ100症例が報告されており、本邦では12症例が報告されている。

<好初年齢>
Yamagataらの報告による12症例の集計によると、発症は新生児期から乳児期早期である。新生児期では、乳児期早期発症てんかん性脳症(EIEE)、乳 児期ではWest症候群(点頭てんかん、IS)の発症を契機に本症が疑われることが多い。

<症候の特徴>
@点頭てんかん:発作型の大部分は点頭てんかんであるが、EIEE、ミオクロニー発作、強直発作を呈することがある。臨床脳波所見は上述の発作型に 特異なヒプスアリスミア(点頭てんかん)、SUPRESSION-BURST(EIEE)などを呈する。

A眼科的異常:脳脈絡膜症(Lacuna)は丸い斑状で乳白色、黄色ないし白色を呈し、萎縮性で形や大きさは不同である。Lacunaは網膜色素上皮および 脈絡膜の発育異常による眼胚腔遺残と考えられている。Lacuna以外の異常では視神経乳頭欠損、虹彩癒着、瞳孔膜遺残、網膜前物質、網膜欠損、グ リオーシスなどが報告されている。

B脳梁欠損:脳梁欠損の診断は近年のCTやMRIの導入により比較的簡単に行えるようになった。脳梁欠損のみならず脳回、脳溝の形成異常、脈絡乳 頭腫、水頭症、小脳虫部欠損症などを合併することが多い。また本性では異所性皮質(Cotical Heterotopia)を合併することが多く、脳室壁は不規則 な突出を呈し、ときには結節状のこともある。精神発達遅滞やてんかん発作は、脳梁欠損自身によるものよりも遺所性皮質や他の合併症によるものと 考えられている。

<行われるべき検査>
症候で述べた所見以外の異常は比較的少なく、脊椎の異常、顔面の非対称、手指の小奇形が報告されているのみである。抹消血、血液生化学、先天感 染症(TORCH)などに異常は認められない。稀に顔面原発の胎児性癌の合併が報告されている。

<診断のポイント>
乳幼児期早期の女児に点頭発作、網脈絡膜症と脳梁欠損の三徴に精神発達遅滞を認めると診断は確定する。てんかん発作は必ずしも点頭発作でな いこともあり、注意が必要である。鑑別疾患としては先天性トキソプラズマの眼底所見が類似しているが、中枢神経所見は異なるので鑑別は容易である。

<経過・予後>
Yamagataらの12症例の報告によれば、発症は全例新生児期から乳児期早期で症状はてんかん発作であった。治療はてんかん発作による治療である。 12症例中4例が生後3ヶ月から3歳6ヶ月時に死亡しており、その原因は肺炎、肺癌、胎児性癌、不明であり、悪性新生物による死亡がかなり多い点に注目 すべきである。

<入院の要否>
診断確定のためと、必発するてんかん性脳症(EIEEIS)に対する治療(ビタミンB6大量療法、ACTH療法)には少なくとも1ヶ月間の入院は必要である。

<家族への説明>
本症が胎内発症の中枢神経の奇形症状群であるので根治治療が乏しいことを理解してもらうことは重要である。が、本症の同一家計内発症が極めて 稀であり、遺伝的疾患ではないことを強調すべきである。

<治療>
本症の中枢神経奇形に対する脳外科治療は、本症に合併した水頭症に対する手術以外は望むべきもない。前述したごとく、てんかん発作に対する治 療と感染症に対する治療等の対症療法がその主なものである。